第11回全国浄土宗青年会全国大会 |

第11回全国浄土宗青年会全国大会

第11回全国浄土宗青年会全国大会
こころは同じ 花のうてなぞ
~命の輝き 念佛の輪とともに~

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平成27年9月2日、山口県山口市湯田温泉・ホテルニュータナカにて第11回全国浄土宗青年会全国大会が行われました。

講義①は『地域のリーダーとしての僧侶の矜持(きょうじ) ―自行化他の精神―』と題して、仏教大学名誉教授藤本浄彦先生に講義を頂いた。
藤本先生は、大学や養成講座で学んだことは羅針盤。知識に基づかない実践は盲目であり、実践を伴わない知識は空虚であるとし、僧侶が積極的に地域や社会に参加する姿勢が大事であることを述べられた。ただし、お寺などでイベントを企画する場合、現代の社会の世俗的価値観の風潮に迎合することは僧侶の矜持を損なってしまうと注意を促した。
また、宗教とは人間が生きることの究極的な意味を与え、人間の問題の究極的な解決に関わることであるとし、私たち浄土宗僧侶は、お念仏を通して自然に自行化他へともたらされるのだから、お念仏のみ教えに任せる覚悟を持って歩んで頂きたいと強調された。

講義②は『「萩しーまーと」は地域にどう貢献してきたのか』と題し、道の駅「萩しーまーと」駅長・中澤さかな氏に講義を頂いた。
「しーまーと」の経営が円滑なのは、経営理念として、まず論語の「近者悦 遠者来」(近くの地域の人が喜べば、遠くの人が来てくれる)や、近江商人の「三方よし」(生産者と売り手とお客さんそれぞれが少しずつ得をするようにつとめる)を心がけることが、円満に商売ができる秘訣であると示した。
また、地の物を使い、店の宣伝ではなく、地域の宣伝になるように情報を提供するように心がけることが大切であるとした。後継者も数人育てていることも明かし、何事もゆったりとした状態で挑むと自ずと力が出ると語った。

講義③では『地域(里山)に根差す、温もりある寺院の在り方』と題し、地域エコノミストの藻谷浩介氏に講義を頂いた。まず、日本は犯罪(殺人事件)が少なくなっている国であることを統計から明かし、犯罪が増えているという誤った認識を指摘した。続いて、日本が黒字の関係である国は主に米国であり、赤字の関係になっているのが中東であることを明かした。そのような国際情勢の中で「世の中がお金を儲ければ良い」「自分さえ良ければ」という価値観が蔓延っている。それによって「人・お金・物・情報」がまるで内蔵脂肪化のように不全になってきていると警鐘を鳴らした。
藻谷氏は、これからの日本はマネー資本主義ではなく、里山資本主義(自給自足、物々交換、稼いでは回す、ほどほどに稼ぐ、綺麗な環境作り)になっていけば、お金や資源を奪い合うことがなくなって、諸々の問題が改善され、次世代の人々にも借金や汚染物ではないものを残していけると提示した。
また、人には自分と他人を比較してしまう思考があり、「一人になりたい」とか「誰かに勝ちたい」という欲を求めてしまうが、「何でも自分でできる」と思わず、お互いに認め合うことを心がければ、自ずとかけがえのない人となっていくのだと熱く語られた。最後に、後の世で阿弥陀さまにお会いした時、恥ずかしい事は今から止めていきたいものだと講義を締めくくった。

講義終了後、『地域で輝くお寺の未来像』について、講師の先生方と全浄理事長西嵜上人及び中・四国代表米村上人によるディスカッションが行われた。
中澤氏・藻谷氏からは、葬儀は葬祭場の方が中心ではなく、やはりお寺の方が中心であってほしいということや、地域の人が気軽にお寺の人と話せるような環境、普通の人が普通に言える場所(例えば茶話会)、自らの死のことも考えていけるようなコミュニティーを作っていってほしいという意見が出た。

地方創生が挙げられる中、僧侶として宗教者としてどういう立ち居振る舞いをしていくべきなのか、聖職者である自覚を自らがしていかなければならないと改めて感じ得た実のある研修会であった。

 

 海福寺 瀧沢行彦 合掌