第九話 『十夜の功徳 』 西駿組 西運寺 西沢正彦 |

第九話 『十夜の功徳 』 西駿組 西運寺 西沢正彦

最近、また日本の各地で地震が頻発しています。
私たちの住む、東海地区も古くから地震が心配されている地区です。
私も小学生の頃から、防災訓練、ヘルメット着用での集団登校をしたことを思い出します。
あの東日本大震災。
私たちの記憶に深く深く刻み込まれました。

多くの方が突然、様々な関係の方を亡くされました。
亡き方ともう一度会いたい。
話したい。
被害に遭い悲しみにくれ大槌町で「風の電話」という電話ボックスを、設けられたそうです。
そのことを綴られたコラムをご紹介いたします。


『過去につながる電話』 (ペンネーム 宇岐 知子)

『風の電話』の話を聞いたことがあるだろうか。
東日本大震災で大きな被害のあった大槌町にあるそうだ。
家族や知り合いを亡くした人が、この電話ボックスから、亡くなった人に思いを語りかける。

今は安らかにすごしていますか。
伝えたいことはありますか。
返事はしないけれど、見えない電話の向こうで、大切な人はきっと、やさしい目をして聞いてくれているような気がする。

過去につながる電話や、未来につながる電話も、あればいいと思う。
過去につながる電話があったら、母にかけてみたい。

母が亡くなって十二年になる。
元気だった頃の母に話したい。

行きたいところはある?
食べたいものはある?
私にして欲しいことはなに?
母さんはしあわせですか?

そして私と一緒に暮らして、良かったと思ってくれていますか?

もっともっと、いろんなことをしてあげればよかったね。
ごめんね。

未来の私からの電話に、母は、どう返事をするだろう。


この方の想いは他人ごとではありません。
私たちの住むこの東海地区も同じように、いつ大きな地震、天災に見舞われるかわかりません。

私たちも友人や、家族、大切な人には、いつまでも生きていて欲しい、自分の支えになって欲しい。
ですが突然それがかなわなくなる。
天災地変ばかりではありません。
事故や病気様々です。
それも突然襲ってくるということもあるのです。

大切な人とはいつまでも一緒にいたいもの。
しかし、別れはいつか必ずやってくる。
先に別れた大切な人。
この方のように、もっともっといろんな場所に連れていきたかった、食べさせてあげたかった。
いろいろ話したかった・・・。
もし今もう一度話せたとしたら・・・。

私たち(仏教徒)にとってこの「風の電話」とはなんでしょうか。
亡き方と話せる場所、自分の話を包み隠さず聞いてくれる場所。
それは菩提寺のご本尊様、またはお仏壇でありお墓ではないでしょうか。

もうすぐ、秋も深まり浄土宗ではお十夜法要の時期です。
関東では三大十夜と呼ばれ、鎌倉の大本山光明寺の「双盤十夜」、八王子、大善寺の「諷誦文十夜」、埼玉県鴻巣の勝願寺の「塔婆十夜」として、お十夜の行事は各地で古くから盛大に行われ人々に親しまれてきました。

亡き方々を思う気持ちは昔も今も変わりません。
私たちが日々お称えするお念仏は、必ず亡き方に届きます。

法然上人も
『衆生仏を礼すれば仏これを見給う。
衆生仏を称うれば仏これを聞き給う。
衆生仏を念じれば仏も衆生を念じ給う。』(親縁)
というみ教えを大事にされてきました。

衆生(私たち)が亡き方々を思えば、必ずその思いを聞いて下さり、極楽浄土から私たちのことを見守って下さります。

ぜひ菩提寺のお十夜法要に参加し、「南無阿弥陀仏」のお念仏をお称えし、ご先祖様方のご供養をしたいものです。

ご本尊さまに手を合わせ、お墓に、またはご自宅の位牌に語りかけ「風の電話」のように亡き方々を身近に感じましょう。

 

阿弥陀佛のお救いについて詳しくは『お念仏とは?』をご覧下さい。

 

 

合掌
西駿組 西運寺 西沢正彦